2019年のおもしろかった本、私的ナンバー1は劉慈欣著「三体」

累計2000万部突破とか、英国ヒューゴー賞受賞とか、中国発の超弩級SF作…とか、宣伝がすごくて当初は買うのに躊躇していたんですが、読んでみればやっぱり今年一番の傑作でした。(もちろん中国では2008年刊行の作品ですが)

著者は発電所のコンピュータ管理エンジニアだそうで、科学知識の正確さは作品のディテール描写に大いに説得力を与えています。

歴史、政治、社会学についても著者の該博な教養がうかがわれ、日本のSF作家にはちょっと似た人が見当たらない(小松左京氏がこれに近いか・・・)。

もちろん、ゴリゴリのリアル描写だけではなく、作品中に登場するVRゲーム「三体」のおもしろさは格別で、活字で読んでいながら自らバーチャルワールドにトリップするかのような錯覚に陥るし、作品後半部には外連味たっぷりの大技も用意されていて、エンターテインメント的にも文句なし。

本作は「三体」三部作の第一作だということで、ああ早く第二作を手にとりたい。