集英社から刊行されたのが2009年、私が購入したのは徳間文庫化された2016年、いやー長丁場だったなあ。
通勤電車の中で読み切ろうと思ったけど、スマホでYouTubeとか見出すと途端に読書量が減ってしまい、もともと読むのが遅いせいもあって、なかなか読み切れませんでした。
でもふと思い立ったときにボチボチ読むって、こんなエンターテインメント警察小説(本作の主人公は麻薬取締官だけど)では、イレギュラーな読み方ですね。
ストーリー前半でのキャラクター描写がしっかりしているので、途中1か月や2か月読まずに過ごしても、すぐに物語の世界に戻れました。
まだ香港が中国に返還される前の時代設定ですが、全然古びていませんね。著者は取材に膨大な労力注いだのだと思う。
舞台は、グアム、東京、ウラジオストク、ニューヨークとめまぐるしく変わり、登場人物はマフィア、麻薬取締官、ヤクザ、DEA、CIA、中国警察と入りくみながらも、まったく破綻なし
キーパーソンのホワイトタイガーが誰なのか、最後まで明かさない手腕はお見事
読者サービスでラブロマンスとか挿入されると興ざめしちゃいますが、そういったこともなし(あ、ラスト近くでちらりとあったか・・・)
ひさびさに長編作を読み切った充実感を味わえました。
実は大沢在昌作品を読んだのは、本作が初めて(^^;)
昔々、書店で新宿鮫シリーズが飛ぶように売れていた時代がありましたが、当時は警察小説とか、あまり興味が無かったんでまったく触れずじまいでした。
解説を読むと、初出は週刊プレイボーイで2年半の長期連載だったということで、あれ、意外とこんな飛び石的な読み方も、結構あっていたのかも知れない。