小谷野敦、小池昌代両作家の対談本、「この名作がわからない」を読んだ。
五章からなり、作家ごとの代表作が論じられている。
第二章 フィッツジェラルド、テネシー・ウィリアムズ、ナボコフ
第五章 ドストエフスキー
各章それぞれ名作を取り上げて両作家それそれに「わからなさ」加減を吐露しているのだが、これが無性におもしろい。
お二人とも俎上に上った作品はかなり精読されており、特に英文学者の小谷野氏は、私小説作家でもあり、最近は谷崎潤一郎、川端康成、久米正雄と立て続けに伝記を発表して伝記作家としての仕事も多いから、その卓見に驚くことしばしば。。
自分としては、第二章で論じられた作家たちの作品が昔から全くわからなかったが、その理由が明確に説明されていて腑に落ちた。
文学的なトリビアも多く
川端康成の文章の拙劣なところなんか今まで気づかなかったなあ・・・
現代作家に対する論評も所々まじえている。(もう少し村上春樹を評価しても言いように思うが、まあこれは好き好きだし)
文学史上の作家の評価も独特で良い。
ああ大江健三郎って、フォークナーってそんなにすごい作家だったのか・・
読者サービスも結構あるな、好きなYouTuberとか、最近禁煙したとか
長年の小谷野ファンとしてはうれしい。
おもしろくてためになる。