木曜日だった男(光文社文庫)を読んだ

ここ最近はKindleアンリミテッドを有効活用

 

この作品は学生時代に吉田健一訳の木曜の男(創元推理文庫)で既読だけれど、当時は本格ミステリーを期待して読んだせいで、途中からなんか筒井康隆スラプスティック小説っぽいなあなどと感じ、チェスタトンとしては失敗作ではと勝手に思い込んでいた。

 

今回南條竹則訳で再読して反省、自分の読み込みが浅いだけ

 

推理小説といえば推理小説だけどサスペンスではなく、そう幻想文学に近いか(訳者はまさにうってつけの人というわけだ)。

 

作者のこだわりからか、食事のシーンと登場人物のファッション描写がちょっと常軌を逸しているほど細かい。

 

特に色彩描写が目立っていて(南條さん色彩のボキャブラリー豊富すぎ)後半の伏線回収に律儀に当てはめられている。

 

解説でチェスタトンが美術評論から作家の道に入ったことを知って納得

 

南條訳で蒙を啓かれました。

 

チェスタトン版「ヨブ記」すごい。