かけっこの速い男の子

うちの息子。どうやらかけっこが速いみたいです。

家では普段から「僕、足速いよ」とアピールし、

未就学児童特権の「根拠のない自信」満々なのかと思いきや、実際運動会で走る様子を見ると確かに速い。

特別スポーツをやらせているわけでもないのに、全然全力で走ってないのに、でも速い。

おかしいな、父である私は万年びりけつ走者だった。運動会の記憶は変わることなくワンパターンで・・・

バンって音がして、ああ耳が痛い、スタートか、走らなきゃ、

あ、隣の子もう5メートルも先に行っている、でも途中でやめちゃ怒られるよね、

義務義務、ああ全然進まないな、あ、隣の子もうゴールしてる。

「降りた」とかいって終わらせてもらえないのかな、最後まで走ってもビリなんだし

あ~たいくつ・・・

これが保育園、小学校、中学校まで続いた。(高校はかけっこはなかった。よい学校だった)

こんな父だから、リレーのアンカーで颯爽と走る息子を見ても、正直周りのパパみたいに「がんばれー」と野太い声で応援したりはできない。

おもうに

足の速いパパに足の速い息子→全力で応援「やってやれ息子」

足の速いパパに足の遅い息子→全力で叱咤激励「何やってんだ息子」

足の遅いパパに足の遅い息子→全力で応援または慰め「だめでも頑張れ」「いや~俺も遅くてね」

足の遅いパパに足の速い息子→う~んもごもご、「わたしからいうことは何もありません」

といった感じです。

もちろん1等になれたらいいねとは思うけど、なんかこう全力で感情移入したりできないのです。

ああ、君はとうとう「運動会は晴れの舞台」と心から感じる勝ち組の一員になってしまったんだね。

君にとっては、その足の遅い子、リレーのバトンを落としてしまう子、もろもろの運動神経のない子なんかの心持ちとかは、まったく想像もつかない、認識の範囲外の、日本海溝の底とおんなじ対象なんだろうね。

誰が悪いのでもない、親子のちっちゃいちっちゃい、それでいて深~い断絶の第一章が始まってしまったような、うだうだ、つらつら

とか思いつつ息子をカメラで追っていくと

あ、もうゴールしてる。

う~ん、いい笑顔だ。