ノーベル賞作家の伝記映画ということだけど、あまり作品と作家の私生活とのつながりは描かれていなかった。
その分、作家の実人生に即した映画なのかも知れない。
アルベール・カミュは、シオラン、ル・クレジオとならぶ奇跡的に(不幸にも)地球に降り立った「異邦人」作家だと思うのだけれど
映画の中の人となりは、エゴイストで女癖が悪くはあるものの、思想的にはきわめて模範的なリベラル知識人・・・
故郷アルジェリアの独立運動に共感しつつも暴力には反対、実存主義作家とみなされるもサルトルらの左派の政治的スタンスに歩調を合わせることができずに孤立
苦悩する作家、たしかに
でも、異邦人の作者といったらどれだけ異質なパーソナリティを持っているのかと思いきやの肩透かし感が・・・作家の作品=人格なわけはないから当たり前か(もしそうなら皆自殺してしまう)
フランス植民地での幼少時代、父を早くから亡くし、貧しい母親の実家での暮らしの中でも、それでも優秀な頭脳を教師に見いだされて高等教育を受け、早くから作家として認められ、ノーベル賞受賞
たしかに一般の労働者階級からみれば貴族だよねえ。アルジェリアの過激な独立運動からしたらカミュのあいまいな態度は許せなかったのかも・・・
その華麗な人生も自動車事故で突然終わってしまうけれど、同乗者のメンバーはウィキペディアと映画では違っていたなあ(あとで書籍で確かめよう)
しかし一昔前の知識人てみーんなヘビースモーカーだったんだなあ、カミュなんか結核の持病があったのにあれじゃあ、いずれ早死にしてしまっただろう。