「不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?」を読みました。

「不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?」須藤靖著(講談社ブルーバックス)を読みました。

我々の住む地球が属するこの宇宙は、138億年前に発生したビッグバンに始まり、膨張をし続けている。。。。までしか知らないへたれ文系な私ですが、以前から「じゃあビッグバンの前はどうだったのだ?」「膨張をし続けているってことは、大きさがある有限な空間なのか?」「有限であるとすればその外はどうなっているのか?無限か?無限ってなんだ?」などなど、うすらぼんやりと疑問は抱いてきました。

しかしまあ、健康な凡人なので、日常生活ではこんな疑問はどこかにわすれて不自由なく生きているわけですが。。。。

本書の第1章も

小学生から聞かれる宇宙に関する素朴な疑問として

Q1 宇宙には果てはありますか

Q2 宇宙には始まりはあったのですか

Q3 宇宙はある場所が爆発して生まれたのですか

Q4 宇宙人はいますか

があげられています(おお、私はしっかり小学生レベル!)。

本書は、最新の物理学の知見をもとに、著者が2017年に東大の教養学部生を対象に行った講義からまとめられたものですが、物理学に疎い一般人にもわかるように平易な文章で書かれ(途中、基本的な物理公式は無論出てきはしますが、公式がすべて理解できなくとも、文章で論理展開は追えます)、第1章:この「宇宙」の外に「宇宙」はあるのか?から最終章:マルチバースを考える意味 まで、一気に読ませる大変な良書です。

自分がぼんやりと抱いていたあやまった理解がつぎつぎとなぎ倒されていく快感とでもいいましょうか。。。。。

たとえば

上のQ3にあるビッグバンの理解って、普通は

ある1点が爆発してその中心からXYZ軸方向に球体が膨らんでいくように膨張するイメージ・・・・・になりますよね(私はまさにそうだった!)

ところが、まーったくちがうんだと

我々から見て観測可能な果て(=地平線)からやってくる「高温高密度のビッグバン状態にあった時期の残光ともいうべき宇宙マイクロ波背景輻射」の温度は、方向によらず0.001%以内の精度で一致している・・・

こんな展開が第2章、第3章と続くんですからおもしろくないわけがない。

ああ、おじさんには久しぶりにスリリングな読書体験で、高校時代にこの本に出会えていれば、もう少し物理に真剣に取り組めていただろうになあ、などとしょうもないことも考えてしまいました。

おまけ

1 地球表面の海水すべてを1つの球体に集めて地球と並べた想像図が本書に挿入されているんだけど、一瞬「地球環境を守ろう」と叫びたくなります。

2 最終章の「密室で目が覚めた運のいい男」のたとえは秀逸で、そこから第1章に戻ると・・・