講談社まんが学術文庫はいいかも

先日アマゾンアプリをつらつら眺めていたら、講談社まんが学術文庫なるシリーズを見つけました。

ああ、こういうのつまらないよなーと、スルーするつもりが、表紙の絵柄にピンとくるのがひとつあって購入。

原作:カミュ「異邦人」、作画:須賀原洋行

なんとあの「よしえサン」「気分は形而上」「天国ニョーボ」の須賀原先生!

早速一気に読みました。

いやすごい。原作読んだのは高校生の頃で、まあかったるい描写と何考えてんだか分からない主人公ムルソーの独白が鼻について、薄い本なのに読み通すのが恐ろしく苦痛だったって記憶しかないんだけど、このまんがはいい!

(原作の価値を全く理解していない人間が断言してます)

須賀原先生は原作が描こうとしていた主人公の特異性を際立たせるためにある仕掛けを使っているんだけど、これがズバリはまっていますね。

そう主人公は僕たちとは視点がちがう。見える風景が違う。だから、読む方が読者の視点を保持しているままでは、主人公の独白を延々と聞かされているだけで、まさに作中の裁判官になってしまうしかないんだ。だから…これ以上書くとネタバレ(^_^)

キャラクターもコテコテ西洋人の風貌にマッチしているし(須賀原先生の画力おそるべし)、なぜか名前にいちいち漢字を当てていて、このセンスも絶妙。

安易な絵解きではなく、換骨奪胎でもない、

不条理でエロくてドライでちょっぴり怖いまんが…原作も読み直してみようかな。

講談社のこのシリーズは玉石混淆らしいんだけど、今回はいきなり当たりでした。